10月23日、男の子が誕生しました。
予定日より早かったこともあり、小さめの2450グラム。
彼の手と比べていただけると小ささがわかるでしょうか?


この写真は生後3日目。今は体重も少し増え、プクプクしてきました。
名前は凱羽。トキワという音は早くから決めていて、漢字は入院中に。
凱旋門の「凱」には勝利などの意味があり、勇ましい印象を受けます。
「羽」を合わせて軽やかに。 たくましく、優しい子に育ってほしいです。
すでに母親になっている人に、お産のときの様子を聞くと、たいてい
「痛かった。でも、詳しいことはもう忘れちゃった」と言います。
産後の子育てのほうが大変なのと、我が子かわいさからか、
「産みの苦しみ」はすぐに忘れてしまえるということなのでしょう。
私はライターとして、「それではいけない、記録しよう」と考え(笑)、
お産の合間に携帯から自分のPCへ、経緯を綴ったメールを送りました。
いつもの日記とは趣向が違いますが、レポート風にまとめておきます。
自分自身の覚え書きとして。いつか母になる誰かの参考として。
私が出産したのは世田谷区の杉山産婦人科です。
無痛分娩を希望して、ここを選びました。主治医は谷昭博先生。
出産前に分娩の講習なども受け、全面的に納得して無痛に決定!
無痛分娩についてはこちらも読んでみていただければと思いますが、
とにかく「母体の負担を減らし、胎児への負担も減らす」ものです。
欧米では大半が無痛(つまり、麻酔で陣痛を軽減して出産)だといいますが、
おそらく「無痛分娩」「自然分娩」などという分け方すらなく、
たとえば歯科治療の際、ごく普通に麻酔を用いるように、
「出産=麻酔で痛みを軽減するのが当然」というものなのでしょう。
お産の進行は人それぞれです。母親や胎児の状況によって、あるいは
担当する助産師・主治医によっても経過に違いがあることでしょう。
特別な医療措置を必要とするケースは別として
無痛分娩にするか自然に産むかは、産む人が自分で決めることです。
無痛で産んでも「思っていたより痛かった」とか
「吸引の処置は受けたくなかったのに」などと不満を感じる人もいれば
「自然分娩で最後の最後まで痛い思いをしたのになかなか生まれなくて、
赤ちゃんに負担がかかりすぎて、結局途中で無痛に切り替えた。
こんなことなら最初から無痛を選択しておけばよかった」という人もいます。
誰にとっても絶対に無痛分娩がいい!ということではなくて、
「十分な知識があった上で、自分で選択した方法であること」が重要だと思います。
そして、確かな技術を持つ医師の元で産めるということも。
「麻酔で痛みを軽減する」という選択肢が当然のように存在する国に比べると
日本は「無痛分娩って何?」「危険なんじゃない?」という程度の意識しかなく、
「痛みを伴わないなんてお産とはいえない」という考え方もいまだに多いようです。
何より、無痛分娩を希望しても、それを実践できる病院が圧倒的に少ない。
そして、費用も高い(お産にかかる費用はゼロという国も多いのに!)。
個人的には、無痛分娩を選択して正解だったと心から思っています。
もちろんそれなりに痛みはあったし、産後のつらさもハンパじゃなかった。
でも、お産への恐怖心は一切なく、実際、かなりリラックスして産めました。
生まれてきた子と対面したとき、ちゃんと感動する余力も残っていました☆
小さく産まれてきたわが子への負担も軽く済んだと思うと、それもよかった。
でも、一番「よかった〜」と公言しているのは、立ち会った彼かもしれません。
「どんな修羅場になるんだろう」と内心覚悟していたそうですが、
とても和やかなムードでお産が進行したので、彼はいたく感銘を受け、
「無痛分娩って素晴らしいよ」とみんなに推奨しています(笑) 。
では、レポートを開始します。
***
●10月22日
15時に入院。大部屋(4人)には一番せまいスペースしか空きがなく、
いつもは差額2.5万円の個室に、差額1万円で入れることに。
1日1万円の差額──迷ったけど、広々していてかなりいい。
切迫早産時の入院で、日の当たらない大部屋には疲れていたし…。

←部屋からの眺め
それにしても、妊婦検診にもお産にも、お金かかりすぎ!
どうして健康保険が効かないのか、理解に苦しむ。
40分ほどNSTモニターをとる。張りも少なく「優秀優秀」と助産師さん。
普通はこの後、無痛分娩に向けてバルーンなどの処置をするらしいが、
すでに赤ちゃんの頭が降りてきている私には不要。
今日はもうやることもなく、くつろいでいればいいとのこと。
束の間だけど明日に備えてゆっくりしよう。生まれる前から親孝行だね。
18時前に夕食。切迫早産時の入院で慣れてはいるけど、相変わらず豪華!
半分ほど食べたけど、残りはお見舞いに来ていた彼に食べてもらった。
先生の指示で、もうウテメリン(張り止めの薬)は服用せず。
←ある日の夕食。毎日、すごいのです。
19時すぎ、ゆっくりとシャワー。個室はいいなぁ。
※大部屋はシャワー室使用。要予約で10〜16時までしか入れない。
21時すぎに助産師さんくる。
軽く赤ちゃんの心音を聞き、明日の説明を受ける。
そのままのんびり過ごし、マッサージをしてもらって、彼は22時に帰宅。

──入院中、寝たきりで肩や腰が痛くて、毎晩彼にマッサージを頼んだ。
そんなとき、彼が無印で見かけて買ってきてくれたのが「ほぐしテトラ」。
見た目はシンプルだし、実用性もGOODのすぐれもの──
その後もベッドでテレビを見るも、なんとなく落ち着かず、
さっきもらった睡眠導入剤を飲んで、23時に消灯。
寝付きが非常に悪い私にしては、わりと早く寝れたはず。
●10月23日
4時40分頃目覚める。やはり緊張しているのか、ゆっくりは寝ていられない。
ゆうべ21時以降は水も禁止だったので、とても喉が渇いている。
トイレへ行き、ベッドに戻ると軽い腹痛。生理痛のような感じ。
再度トイレに行き、少し大便。腹痛もおさまった。
もしや陣痛?とちらっと思ったけどさすがに違ったみたい。
もう少し寝よう。お腹がすいてきたけど、麻酔をするので朝食は抜き。
7時すぎ、助産師さんが病室へ。
シャワーを浴び、手術着に着替えてから、7時50分、LDRへ。
モニターをつけ、8時に点滴開始。陣痛促進剤と膣の殺菌剤などを投与。
8時15分頃、先生登場。横向きになり、体を丸めて腰のあたりを消毒。
腰に麻酔をしてカテーテルを入れる。チクッとするけど耐えられる痛み。
しばらく処置が続き、またモニターを装着。
LRDの天井の色はブルー。分娩の経過によって変化するらしい。
正面のテレビ画面にはイルカの映像。

9時すぎに、一度赤ちゃんの心音が低下。
横向きになり、酸素マスクを当てられる。心音もすぐに安定。
おなかの痛みは全く感じない。陣痛が付きにくいらしい。
助産師さんが「まだ出てきたくないのかなぁ?」とお腹に話しかける。
12時頃からようやく少し陣痛がついてきた模様。
強めの生理痛のような痛みが定期的に一時間くらい続いている。
まだまだ先は長そうなので、彼はランチを取りにいったん外へ。
LDRには、好きなCDやアロマオイルを持ち込むことができる。
彼に持ってきてもらったCDが、小さな音でずっと流れていた。
フアナ・モリーナ、アストラッド・ジルベルト、グーター、高橋ピエール…
少し眠い。助産師さんが何分かおきに様子を見に来てくれる。
13時40分、先生が再び登場。羊水量をエコーでチェック。
羊水が少ないわけではないようだ。人口破膜。痛かった。
羊水が流れ出てくるのがわかる。
陣痛が定期的に強くなる。思わず「いたたた」と声が出る。
顔をしかめながらも、「でもまだ耐えられる痛みだ」と思った。
陣痛がひどくなってきた。携帯でメールを打つのも少々苦しい。
時計を見ると14時を過ぎていた。助産師さんに
「早く麻酔を始めると途中で切れて最後に痛いとかあるんですか?」
と聞いてみる。ずっと気になっていたことだ。
「ううん、大丈夫。一瞬だけ麻酔するのは、正しくは『和痛』だね。
谷先生の場合、予定分娩とはいえ単に日にちでは決めないでしょう?
直前まで様子を見ながら、慎重に出産の日にちを決めたでしょう?
だから、大丈夫。痛くなってきたら早めに言ったもの勝ちよ」
それを聞いて、即「痛いです!」と言った。もうかなり痛い・・・。
外来で診療中の先生を呼んでもらい、ひたすら待つ。いたたたた・・・。
先生が来てカテーテルから麻酔を入れるも、すぐには効かない。
麻酔を注入するとき、冷たい液体が背中を通過するのがわかった。
痛みから救ってくれる「ありがたい液体」という感じがする。
麻酔が効いてきたらしく右足が少ししびれてきた。
先生に「効き方に左右差はない?」と問われる。
そういえば、どうしても左の下腹部にだけ痛みが残っている。
彼が足を触り、左だけ冷たい、とさすってくれた。左の下腹部にだけ陣痛の波。
痛みに顔をしかめつつ、「無痛じゃなかったらどんなに大変か」と想像する。
「なんでみんな無痛にしないのかな」陣痛の合間、思わず口にしてしまう。
助産師さんも「そうだねー」と笑っていた。
体の左側を下にしてみたり、麻酔をさらに追加してみたりして、
効きが良くなったところで促進剤増量。陣痛が増すはずだが、痛みは感じない。
子宮口がかなり開いてきたそうだ。
15時半くらいから「いきみ」開始。まだ陣痛は5分間隔くらいだけど、
「この子はこのペースなんだよ、きっと」と励まされる。
張りを感じたタイミングで数回ずついきむ。意外と体力を使うのにびっくり。
途中、先生が様子を見にくる。「ちゃんといきめてます」と助産師さん。
「このまま頑張ってお産にしましょう、
途中で赤ちゃんが苦しくなったら鉗子か吸引で先生に助けてもらうから」と。
16時すぎにお産の準備が始まった。
横向きから上向きに、私の体が固定される。バーを握ってさらにいきむ。
足に布(紙?)が巻かれる。思うように足が動かない。
痛みはない。ただ、感覚はしっかりとある。
何度かいきんで「赤ちゃんの頭がかなり見えてきたよ」と助産師さん。
そのままさらにいきむ。最後に先生が吸引した(らしい)。
その瞬間、本当に「あっ」という間に生まれた───
まだ薄青い赤ちゃん。へその緒を切るとちゃんと泣いた。私も泣いた。
誕生は、17時05分だったそうだ。
なんだかあっけないくらいに、おなかがぺたんこになった。
***
産後の疲れや痛みは、今もまだ少しだけ残っていますが、
これも母親になった人なら全員が経験することでしょうし、
無痛分娩だったおかげで、やはり回復は早いのだと思います。
最後に、退院前日にふるまわれる「お祝い膳」を紹介しておきます。
中華のシェフが病室にいらして、料理の解説をしてくれるという本格派。
アツアツのふかひれスープは姿煮入りで、「わー!」という豪華さ。
とってもおいしかったです。とくに手長エビのチリソースが絶妙!



これで1食分です! もちろん「ご主人とどうぞ」ということでしょう。
お酒を飲める人にはゆず焼酎のロックまでついています。
「今日はお祝いですから。院長の許可もいただいています」とシェフ。
さわやかで、おいしかった。久しぶりのアルコールですしね。
食後には、中国茶とデザートも運ばれてきました。大満足。
退院したら「育児」が待っています。
お祝い膳を夫とゆっくり味わうというのはすばらしいコトだと思いました。
Veronica